螢香盆飾

香盆
某家所蔵

螢之図香盆
製作技法 金蒔絵・南鐐覆輪
寸法 高 3.64cm 縦 25.45cm 横 37.27cm


螢籠香爐
製作技法 南鐐籠・金蒔絵台付
寸法 高 12.12cm 縦 9.09cm 横 10.61cm

* * * * * * * * * * * * * * * *


「声はせで 身をのみこがす 蛍こそ
          言ふよりまさる 思ひなるらめ」


亡き夕顔の子玉鬘は、光源氏の邸六条の院に引き取られ、
心安らぐことのない生活を送ります。
光源氏は玉鬘に言いよりながらも、
兵部卿の宮との交際をもすすめるのです。
この歌は、その宮とのやりとりの中で、
鳴く虫よりわが身を焦がすばかりの蛍の方が哀れだと
玉鬘が詠みます。
後に玉鬘は髭黒の大将の所へ嫁ぎ、
六条の院という虫篭から出ることができるのです。

この香盆飾の香爐は六条の院、香盆は現世、
香盆に描いた蛍が玉鬘を表しています。